『I AM FROM AUSTRIA』のこと 前編

 

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楽しみが続きますね。BSPまでには次回更新をしたいのですが、今回はこちら!

 

 

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2019年『I AM FROM AUSTRIA〜故郷は甘き調べ』

オリジナル・プロダクション/ウィーン劇場協会

潤色・演出 齋藤吉正

 

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【ホテル エードラーは5つ星グレードを目指すウィーンの老舗ホテルだ。格式を重んじる経営者の母に対し、ホテルの跡取りで一人息子のジョージ・エードラー(珠城りょう)は若者らしく旧態依然のホテルの行く末を憂い、自分に出来ることを模索していた。

ある日、ホテルにハリウッド女優エマ・カーター(美園さくら)がお忍びで泊まりに来ることになった。

有名人の来訪に沸き立つホテルであったが、ジョージの友人でベルボーイのフェリックスがエマの滞在をツイートしてしまったせいで大騒ぎに!

ホテルにはパパラッチが押しかけ、エマのマネージャー・リチャード(月城かなと)も大激怒。

ジョージはせっかくのホテルステイを台無しにしてしまったお詫びにホテル名物のエードラートルテを手にエマの部屋を訪れるが…。

 


全く違う境遇にいる二人が出会いを通じて自分のルーツを見つめ直す物語。オーストリア第二の国歌とも称される表題の名曲「I AM FROM AUSTRIA」などウィーンの様々な音楽を散りばめ、日墺友好150周年記念公演として上演。】

 

 

 


珠城りょうさんて故郷の擬人化なんですよ。(また何か言い出したよ)


あったかくて、飾り気がなくて、照れくさいくらい真っ直ぐで、大きな懐に包まれるような優しさがある。

これ、ジョージに言い換えても同じですよね。

ハリウッドの生活で鏡に映る自分の顔すら見失いかけたエマがジョージに出会うことで癒され、打ち捨てたはずの故郷と邂逅を果たす。

 


「故郷は甘き調べ」、いい副題です。

 


このハッピーな物語が2020年の辛い日々をいかに慰めてくれたことか!

では例によって珠城さん演じるジョージを中心に作品を振り返っていきましょう。

 

 

 

 

〇いつでもそこにある安心の味


おもちゃ箱をひっくり返したようなにぎやかなセットの中、ジョージだけは濃いブラウンやカーキなどアースカラーを基調とした衣装を纏っています。若者にしちゃ地味好み(笑)

個人的にはウィーン版でルカス・ペルマン氏が着てたような紺ブレ白シャツ青デニムを期待してたんですが…(ヨシマサへの圧)。でもこのアースカラーが不思議とジョージの人柄にマッチしていました。

巷では「チョコレートケーキの化身」なんて言われてましたが(笑)当たらずも遠からず、だと思います。

 

物語のキーになるチョコレートケーキは無論ウィーン名物のザッハトルテをイメージしたものですが、ザッハトルテってショーケースの中では地味なんですよね。でも食べると味わい深くて、うっとりしてしまうほど美味しい!


一見目立たないけどいつでもそこに居てくれる安心感、シンプルが故に引き立つ艶やかな高級感。ほろ苦さと甘さのどこか懐かしいハーモニー…。ほらね?珠城りょうの事だかジョージの事だかエードラートルテの事だか分かんなくなってきたでしょ??(笑)

 

 


ニュートラルな価値観


エマのご機嫌を直そうと用意したケーキは運悪く床に落としてグチャグチャに…。

でもジョージは「美味いケーキは床に落ちても美味い。」って人なんですよね。

ジョージはたとえケーキでも人でも、入れ物や肩書きは気にしない。このニュートラルでフランクな価値観が彼の美点です。


ジョージは自分自身のことも冷静に見つめている人。

狭い世界で生きているために中々一人前に扱って貰えない。そんな苦悩も人に言わせれば贅沢な悩みだと一蹴されることも分かってる。それでも「僕は恵まれた環境に育った」と堂々と言い切れるのがジョージのというか珠城さんのすごいところです。

なんの嫌味もなく自己肯定できるパワーが泥水系のオタクには眩しすぎてな…

 

 

 

〇珠城りょうにやってほしいこと、全部詰め込みました✩.*˚


そりゃハリウッド女優やサッカー選手と比べたらアレですけど、ホテルの御曹司だって十分なハイスペック男子ですからね!?

そんなハイスペ男子が繰り出す数々の必殺技…心臓が幾つあっても足りないとはこの事ですよ(    ´ཫ`)

 


・ペットのワンちゃん!のお犬ポーズ

・頬っぺに付いたクリームを指で取ってペロ!

・冷凍庫に閉じ込められてジャケットふぁさっ!からの「少しはマシ?」

・夢の逃避行でフィアカー降りる時のエスコート

・追っ手から避けるための咄嗟の壁ドンキス

 

 

 

いや〜〜、珠城りょうドリームパックやないかい!!!壁ドンキスで一幕終わった後の休憩時間、どう過ごせって言うのさ!!??(笑)私は下戸ですが飲めたらカクテルオーダーしてましたね。酒持ってこい!!飲まずにいらいでか!

しかも二幕に入ってすぐにまたドリーム始まるから。ほら、誰だって一度は珠城りょうが朝食にサンドウィッチ作ってくれる妄想くらいしたことあるでしょ…それ、現実だから……(錯乱)……

 

 


〇エマとジョージ


最高に可愛いくて最高にお似合いのカップル!二人の場面はどれも大好きなのでここもしつこく深掘りします。

まず『キスキス』の振付をした方に報奨金を差し上げたい。特に銀橋に来てからの振りが最高!

細かいことですが「頭をスパーク カラカラね」でエマがジョージの頭を包むみたいにしてぐわんぐわんするとこがツボです。

珠城さんの名誉のために言っておきますが、あの方お茶会とかで見るとほんっとに頭もお顔もキュッと小さいんですよ!でもジョージの鬘のせいかさくらちゃんが華奢なせいか、頭ぐわんぐわんされてる珠城さんの頭の大きさがリアルに男の人っぽく見えるの毎回ときめいてました。てかエマとジョージの体格差ちょうどいいですよね♡

 


一回目の逃避行。ホットドッグスタンドにはしゃいでクラブで踊って。

「僕はこの国が、オーストリアという国が大好きだ!」

エマの心情を思うとジョージの屈託のなさに涙が出そうになります。祖国に愛着があるのはきっとエマも同じはずですよね。好きなものを好きと言える気持ち、抱きしめてたい…

 


川べりのホームレス達との場面は、エマが自分を取り戻す第一歩になる大切な場面。警察に見つかりそうになって逃げることになるけど、この時の二人がとても楽しそうで。

特にエマのジョージを見る目がもう…♡

そりゃそうだわな〜〜!何も飾らず自然体で居られる人、好きになるに決まってる〜!!

からの壁ドンキスですよ。

あれ、なんなんですかね??私追っ手から逃げたこと無いんでよく分かりませんが、あれでカモフラできるものなのですか??そもそもあんな急にうまいことキスできるものなのですか???

…まぁ、珠城りょうだもんな…できるか……(謎の納得)

 


さくらちゃんの「今わたし、キスされた?」顔がキュートすぎるので細かいことはこの際いいですね。キスした珠城さんもなんか満足そうだったし。(役名で言え)

 


という訳で後半に続きます(笑)あー!今回は一本にしようと思ったのに!!

 

 

 

『クルンテープ〜天使の都』のこと 後編

 

後半も参りましょう!

 

前編はこちら

https://acco11.hatenablog.com/entry/2021/09/10/223015

 

↓↓↓↓↓↓

 

クルンテープ〜天使の都』後編

 


《ラーチャブルック》

かつて珠城さんに紫色の全身タイツを着せた大介(褒めたい)。すわ女装か!?と騒めきましたが面白い変化球でしたね。

男らしく踊っていたと思いきや帽子を取るとファサっと長い髪が零れ落ち「ラーチャブルック」と正体を明かして甘く囁くオチ。

鬘が似合っていたかはこの際置いといて(おい)珠城さん、妙に艶めかしくてね。ほんと、急にエロいの不意打ちで出してくるんですよあの人。そしてまさかこれが後のピガールの伏線になろうとは。

しかしこの禁断のヴェールを剥ぐような「実はオンナでした♡」オチ、普通に女装させるよりクるんですよね(笑)

 

 

 

舞台にはいくつもの[お約束]があって、役者と観客は嘘とわかった上で言わば共犯的にその[お約束]を守り、舞台を成り立たせています。むろん宝塚の最大の[お約束]は男役の存在です。

舞台上の公然の嘘。その共犯の禁が破られる時、ふっと一瞬どこか違う所へ連れていかれるような感覚に陥る。自分の立っている場所が危険な薄氷の上である事に気づかされて、慌てて何かにしがみつきたくなるような…。

珠城さんは元々両性具有的な方なので、このスリルは快感でした。

ちなみに鬘は2種類あって、メインの金髪はキュートな小悪魔っぽく、レアバージョンの黒髪は妖しい女豹っぽいラーチャブルックちゃんでした。

 

 

 

ラーチャブルックの後にゴリゴリに男らしい《ライキンドクーン》この流れが最高なのはやはり嘘の効用ですね。

曲調が妙に懐かしくてダサかっこいいのがツボで、アラフォー(私)はテンションは爆上がりでした。ははは。

「お前〜セクシーデビル〜、ッア!」

の「ッア!」が毎回ちょっとずつ違ってて、吐息系の時とか最高でした♡

この場面の白ワンピのあざと可愛いさくらちゃんも好きだったな。世間知らずの冒険したがってるお嬢様。たまさくのちょっと「いけない感じ」もいいし、ありちゃんとの絡みも全体的にご馳走様でした。撃たれちゃうけど。

 


《エメラルド仏》

素面に戻るとなんだか奇妙で笑ってしまうんですが(だって緑色のキンキラキンの人がさも尊げにせり上がってくるんですよ!?)、珠城さんてどこか菩薩様みたいなところがあって拝みたくなるんですよね。お顔もなんだか仏像っぽいし、生きとし生けるもの万物須らく極楽浄土にお救いくださりそうじゃないですか(笑)。

珠城さんには時々「父性」を感じる時があって、人はそれを包容力と言うのでしょうが、包み込まれる安心感が桁違いなんですよね。

なるほど珠城さんにはタイがいい。やはり大介の金棒セレクトは間違っていませんでした。

 


《フィナーレ》

黒燕尾の開襟腕まくり、そしてターバン!みんなかっこよかった…。ここの演出はスター美弥るりかを送り出す群舞として一番綺麗な方法だったと思います。せり上がってくるるりさんを迎える瞬間音楽がクレッシェンドしていく所、毎回感動で震えました。珠城さんもすごくいいお顔をされてて。

 

 

 

そして、あのデュエットダンス。

あの振付がもうたまさくの原点であり全てなんですよね。

 


珠城さんとさくらちゃんのリアルな男女っぽさって他に類を見ないと思います。

あれこれ語り出すとまためんどくさいこと言っちゃいそうなのでここでは止めておきますが(笑)、お互い思い合っててすれ違ってる二人なんですよね。

その加減が見ていてずっと好きでした。

 

 

 

 


珠城さんって相手役さんをすごく優しく扱うのに時々自分の力加減わかんない感じでさくらちゃんをめちゃくちゃ雑に放り投げる時あるじゃないですか(笑)あれ、リアルに男の人っぽくていいなって思います。そうかと思ったら両手を広げて「おいで」ってしてくれたり。

好きな人の不可解な行動に惑わされ、好きな人によって戸惑いが解消される。その繰り返しなんですよね。リアル〜(笑)

 


最後の銀橋のやり取り、不安げに佇むさくらちゃんに向かって珠城さんが手を差し伸べる。

「不安なことはたくさんあるけどこの手を離さずやっていけばきっと大丈夫」と言っているようで、新生トップコンビの素晴らしいスタートとなりました。最後にハケてくのも二人一緒でね。幸せなひとときでした…。

 

 

 

ショーの感想こんなにコッテリ書いて大丈夫だったのでしょうか(笑)

まぁいいか、タイだし。

 


この公演、お芝居とショーのバランスがすごくマッチしてて楽しかった!ヨシマサのカオスな青年時代劇と大介全開のエキゾチックショー、見終わるといつもお腹ペコペコでタイ料理ばっかり食べていた記憶があります(笑)今日も辛いものでも食べようかな〜

 

 

 

次回は《I am from Austria》にしようかな   for you。

『クルンテープ〜天使の都』のこと

 

珠ロスの皆さま、いかがお過ごしですか?

秋風が身に染みる頃ですが熱い熱いあの公演を振り返ってみましょう!

 

↓↓↓↓↓↓

 

 

2019年『クルンテープ〜天使の都』

(併演『夢現無双』)

作・演出 藤井大介


クルンテープはタイの首都バンコクの通称。敬虔な仏教国として知られ、近年では若者文化の発展も著しい魅力的な国・タイをテーマに繰り広げられるアジアの熱気溢れる絢爛豪華なショー】

 


贔屓がトップスターになったらいつかは大介先生のショーが見たい。多くの人がそう願うのではないでしょうか?かく言う私もその一人でした。男役の女装アリ派だからかもしれませんが(笑)

アサコさんの『Apasionado』ゆうひさんの『NICE GUY』まゆさんの『CONGA』まぁ様の『HOT EYES』…枚挙にいとまがないくらい、大介は(また呼び捨て笑)(親近感です)生徒の魅力を板の上に乗せるのがほんっとに上手い!!

『鬼に金棒』って諺があるけど、大介はどの鬼にどんな金棒持たせたら一番強いか知ってるんですよ。真風涼帆にウィスキーグラス持たせたらそりゃ誰も勝てねぇわ。

この辺のセンス、私は大介天才だと思ってます。呼び捨てだけど。

 

 

 

さてさてそんな大介が珠城りょうに当てたのが、まさかのタイ。

 

 

 

…タイ????タイってあのタイ????天使の都…????……はァ…(?????)

 


いや、好きですよタイ。行ったことないけどいい国っぽいし。でもなんでタイ??

 


発表された時は頭の上にハテナマークが果てしなく湧きましたが、次第に「ムエタイ」だの「ポールダンス」だの「エメラルドの大仏」だの、ショーの構成に関するワードが耳に届き始めたらもうあなた!!これは絶対やばいやつに違ぇねぇ!!!と己の直感と大介を信じてチケットを増やしました。

 


ではかいつまんで語っていきましょう!まだ入口だったよ!!

 


《プロローグ》

トップスターをいかに登場させるかが大介ショーの肝。

幕開きから3場面も勿体つけてゴァァ〜ンと銅鑼の音と共に大階段に降臨するトップスター、完全にタイ奥地の寺院に鎮座する秘仏の扱いで初っ端からいきなりひれ伏す。

怒濤の歌い継ぎはオリエンタル調の主題歌が楽しくてもう手拍子が走る走る(笑)ところで暁千星さんに「あなたがいないと眠りにつけない」ってキラーフレーズつけるのさすが大介ですよね。マジ信頼できる。

 


プロローグの後の王様とお妃様の結婚式っていう設定もさすが。神か。

この場面、本舞台にいる下級生ちゃん達が銀橋で行われてる婚礼の儀式をニッコニコ見てるのがいいですよね。下級生達のファンも出番的に嬉しいし、この王様の治める国はさぞ平和で住みやすい国だろうなと思うわけですよ。私も珠城りょうの治める国に住みたいもん。五穀豊穣、子孫繁栄。

 

 

 

ムエタイ場面と風間さんの花売りも大好き!語りたいけどこのブログは珠城さんフォーカスなのでまたの機会に💦

 


珠城さんを語る上で切っても切り離せない人、美弥るりかさん。

何でしょうね、もうこの二人は二人で一つなんですよ。

足りない所を補い合うだけじゃなくて、お互いの存在がよりお互いを引き立たせ、隣に立つことで自分自身をも輝かせられる。そういう意味でこの二人は完全体でした。

だいきほの歌なんかにも同じこと感じます、私は。一人でも100%素晴らしくて揃うと完全体になるイメージ。

 

《蓮ブーア》珠城さんと美弥さん、お二人はいつ見ても綺麗にシンクロしていました。

美弥さんが幸せそうな日は珠城さんも満ち足りた微笑みを浮かべ、美弥さんが命を燃やしている日は珠城さんも情熱的な眼差しで。呼吸や空気を感じ合いながら踊っているのがよく分かり、あれだけ体格の違う二人なのに脚の上がる角度も体のしなり具合もピタッと揃ってて、それも凄かった!

官能的で美しい、るりたまの最後に相応しい素晴らしい場面でした。    

 


るりたまの熱に浮かされてホワホワしてる我々を正気に戻すさくらちゃんの「ハッ!」。ここも好き〜!千海華蘭さんの前髪〜!!アイドルさくちゃん可愛いかったなぁ〜。

 


中詰めは「王様と私」よりShall  we dance。サンバロット様の魅惑のヒップと太ももで揺れるシャラシャラについ目線が。サンバロット様(パイナップル)のはちきれんばかりのジューシーさ、たまらんですね♡

歌い継ぎもまた楽しく、欲を言えばるりさんの場面をもっと長く見たかったかな。

 

 

 

トップスターには赤が似合う。

真っ赤な衣装を着るトップスターは理屈なしでカッコイイ。

珠城さんが今回お召になるのはパッと鮮やかな、それこそ東南アジアの照りつける太陽を思わせる赤。中詰めお着替えの赤も、続くラーチャブルックの赤も印象的でした。

ラーチャブルック〜ライキンドクーン〜転生の流れ、最高ですよね。ちょっと長くなったのでここで区切ります(笑)。

 


ラーチャブルックからは後編へ続く…

 

 

『夢現無双』のこと

 

9月になりました。

寂しさを埋めるべくコツコツとブログを更新したいと思います。

今回はこちら!

 

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2019年『夢現無双〜吉川英治原作「宮本武蔵」より』

作・演出 齋藤吉正

 

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【群雄割拠の戦国時代。作州宮本村の新免武蔵(たけぞう)(珠城りょう)は幼い頃から負けん気が強く、それ故に災いを招きがちな青年だった。

見かねた沢庵和尚は「己の心の弱さに打ち克って真の強さを手に入れよ」とたけぞうを放逐、名を《宮本武蔵》と改めさせ以降三年故郷への出入りを禁じた。

幼なじみのお通(美園さくら)は武蔵への淡い想いを胸に秘め、涙ながらに見送るのであった…。

武者修行の旅に出た武蔵は遂に永遠のライバル・佐々木小次郎(美弥るりか)と出会う。小次郎は武蔵の亡父・新免無二斉が唯一認めた男。冷徹な父から受けた非道な仕打ちを忘れられぬ武蔵にとって、まさに小次郎はどうしても斃さねばならぬ相手であった。

数々の名剣士との出会い、お通との浅からぬ縁、亡父の呪縛、お通と共に三人仲良く育った幼なじみ又八(月城かなと)との友情…武蔵は人と触れ合い己と向き合ううちに「真の強さ」の意味を知るようになる。

そして、最後に立ちはだかる敵・佐々木小次郎を討ち果たすべく、運命の地・巌流島へと向かうのだった。

武蔵が夢見た、夢現の彼方に待つものとは…】

 

 

 

あのね。あらすじ書いてるとすごいいい作品に思えてくるんですよ。

ただね、いかんせん『夢現無双』は慌ただしかった!(笑)

 

 

稀代の立役・珠城りょう、天下の妖艶・美弥るりかの2人に[宮本武蔵佐々木小次郎]を充てるのは大正解。初々しいヒロイン美園さくらにはいじらしいお通を、これも正解。

題材の良さとキャストの嵌りっぷりがこの作品の最大のポイントですが、脚本が芳しくなかったのと強引なストーリー展開への理解が難しく、作品全体の評価は正直いまひとつでしたね。

 


ですがこの作品、月組ファン的に撮れ高だけは異常に高い公演だったんです!!もうね、ずっとオペラ握ってましたよ私は!だって3分に1回は見どころがあるんだもん!!

ヅカヲタがちょろいのはこういうところですよね…堪忍堪忍…。

まぁ、駄作って言われると何も言い返せないんですけど、宝塚のトップスターは駄作を妙作にするのがお仕事なので、その点で珠城さんの仕事ぶりは評価できると思います。

 

 

 

 


ヨシマサは(呼び捨て)ヒーローに対する憧れが強いんですよね。しかも宝塚ファンの多くが求める少女漫画の王子様タイプとは真逆の、男の子が憧れるド直球なヒーロー。

めっぽう強くて、無頓着で痛快で、女に振り回されないカッコ良さがあって、何故かそれが女の目には愛嬌に映るような男。

この時代にそんなこと言って憚らないのがヨシマサです。「はァ?!」ですよね、分かります。分かりますよ…。

でもここはぐっと堪えてこの時代錯誤なヒーロー像に乗っかりましょう。

 

 

兎にも角にもヨシマサが描くムンムンと漢くさーい宮本武蔵というキャラクター。ハッキリ言ってこれができるのは珠城りょうを置いて他に誰もいません。

剣豪という点ではダルタニアンと似てそうですが、ダルタニアンはピレネー山脈から吹く爽やかな風の匂いと陽だまりの優しさを兼ね備えた人。しかもあれはDINKS夫婦が演じるおとぎ話でしたので、武蔵はまた全然違うんですよね。

向こうがディズニーアニメだとしたらこちらは劇画タッチの青年漫画

 

 

 

 


身も蓋もない言い方ですけど、なんかこう、武蔵さん見てるとウズウズするんですよね(照)。

自分の中の女が疼いてちょっとどうにかしたくなるような、でも絶対どうにかなってくれない感じの野暮な男、武蔵。

 

名花魁の吉野太夫にはんなりと男女の勝負の話を説かれてひとつもピンと来ない朴念仁で、お通さんの必死の懇願を心では受け止めても決して返してはくれない人。もどかしい!もどかしいよ珠城さん!!(珠城さんではない)

けどこのもどかしさが武蔵の武蔵たるところなんですよねぇ。

小茶ちゃんにまで世話を焼かれるし、そうそう、朱美ちゃんに拾った鈴をあげちゃう辺りも良かったですねぇ。すぐ寝ちゃうし、寝顔見たいのに飛び起きちゃうし。あー、武蔵さん可愛いったらもう(笑)

 

 

 

武蔵好きな人、みんな下総の髭武蔵が大好きじゃないですか(※私調べ)。

当然私も髭武蔵大好きです。もはやあの場面のために毎回9500円払ってた。後は全部オプションです。お得か。

 

いやだってよく考えてください?

どこの世に無精髭生やして手ぬぐい首からぶら下げて鍬持って畑耕してるだけであんなにかっこいい存在あります??てか、宝塚ですよ??トップスターですよ???

 

しかもね、それがどうにも色っぽい。

 

武蔵さん見てるとウズウズするって先程述べましたが、正直に申しましょう。髭武蔵さんは見てるとムラムラするんです!!!!

 


菩薩を彫る手も鍬を握る腕もどこかそぞろで、世捨て人みたいな顔してるくせに何か未練を残した風情がありありで。たまんないっすよね、そんな男。

思いっきり罵倒してカッとさせて押し倒されてやろうかと思うじゃないですか(引かないで)。でもきっと武蔵さんは押し倒しても何もしてくれない……そこがいいの……抱いて……(引くわ)。

 

 

 

閑話休題

 


珠城さん好きな人って痛めつけられてる珠城さん大好きじゃないですか(※個人の感想です)。

『グランドホテル』のブログに「珠城さんは死の影が付き纏う役が似合う」と記しましたが、あの頑丈な健康体が痛めつけられる姿は嗜虐心をくすぐられるというか、傷ついた姿が逆に生命の強さを際立たせる所もあって、平たく言えばそそられる訳です。(ああ、どうしても夢幻無双の感想はこっち方面に流れてしまう…)

今ちょうどスカステでバンディート見てるんですけど、銃で撃たれて腹から血を流してるジュリアーノもこの系譜ですよね。そそるわ〜手負いの珠城りょうさん(笑)

 

話を武蔵にもどします。


残党狩りに追われて頭突きかまして逃げる武蔵、千年杉に縛りつけられてる武蔵、吉岡道場を訪ねてコテンパンに殴打される武蔵、撃たれた脇腹の痛みを堪えながら歩いてる武蔵…。どれも痛々しさが色っぽくてオペラで必死に見てました(笑)

 

 

やられる武蔵もいいけど、強い武蔵も魅力的。特に小雪舞う中での七十人斬りの立ち回りの場は圧巻でした。目線ひとつで相手を圧倒する殺気…!

クライマックス、巌流島の一騎打ちも手に汗握る刹那でしたね。せっかくの見せ場があっという間すぎたという声もありますが、タンゴ踊る訳にはいきませんからねぇ(それは同じヨシマサの『巌流』あれはあれでシュールでした)。

 


るりさん演じる小次郎もまた良くて。

小次郎は心のどこかで自分の力を封じてくれる存在を待っていたように思えたんですよね。上り詰めるのは孤独なことで、その孤独を埋めてくれるのは、やはり同じ頂を目指す者しかいない。

好敵手とは良き友であり、時に一蓮托生の恋人のようなもの…。るりたま…。

 

 

 

最後にこの作品のモヤモヤポイント「お通さん可哀想すぎる問題」について。

甘い言葉のひとつもなくて、しのぶ想いは全て心の声。追いかけても追いかけてもすり抜けてしまう面影をただただ涙で見送るヒロイン。これがお披露目なのに…という声もありましたね。

 


私はお通を可哀想なだけのヒロインとは思いません。

そりゃあ気持ちが通じ合うハッピーエンドなら誰から見たってご満足、安心して幕が降ろせるってもんです。

でもね、手に入らなければいつまでも追いかけていられるんですよ。

 


「消えないでおくれ、いつまでもいつまでも…」

 


『同じ星空の下で』サヨナラショーでも歌われたこのデュエット。不器用な武蔵とお通が同じ星を眺めながら相手を想う大好きな歌です。

珠城さんとさくらちゃんの声って重なりがとても綺麗なんですよね。

 


その腕に抱きとめるより、たとえ離れても心ひとつに。

 

 

「たけぞうさんっ!」

「お通、達者でなーー!!」

 


傍から見てたら「さっさと別の男探しなよ」って言いたくなるところですが(笑)もうあの笑顔見てたら何も言えないよね。

悔しいけど、やっぱりままにならない存在ほど狂おしく求めたくなるんですよ。

武蔵が無双の彼方に真の強さを求めるのと同じように、お通もまた見果てぬ夢を追い求める。

あの二人はよく似てるんです。

…たまさくにピッタリじゃないですか!

 

原作ではその辺のモヤモヤも上手いこと回収してくれているようなので、ゆっくり読み進めて脳内上演をしたいと思います。

 

この公演は本当に色々な事がありました。相手役が変わって初めての大劇場公演、珠城さんにとって大切な存在であり絶大な人気を誇るスターるりさんの退団、れいこちゃんの休演、ご本人も東京公演中にトラブルでお怪我をされ、休演こそしなかったものの振付や演出の変更もあり、多くの困難をくぐり抜ける武蔵さながらの大変な公演であったと思います。

後に退団発表の記者会見で、この公演が終わる頃「背負ってきたものを少しずつ降ろしていっていいのかなと思えるようになった」と涙で頬を濡らしながら語っていらっしゃったのも記憶に新しいところ。

思い返せば東京公演の千秋楽、珠城さん珍しく声を震わせて「私達を信じて(トラブルにも動じず)見守ってくれたのが嬉しかった」と仰ったんですよね。

 


歴史ある劇団で興行の中心となって座を回すことのプレッシャーはいかばかりか、珠城さんにとっても、共に戦ってきたファンにとっても決して忘れられない公演のひとつとなりました。

 

 

さて、セクシー武蔵にクラクラした後は、合法なお薬でクラクラしましょう(笑)

《次回》タイってどゆこと!?「クルンテープ」のこと。長文不可避です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『エリザベート』のこと《後編》

 

前記事はこちら

https://acco11.hatenablog.com/entry/2021/08/27/235941

 

さてでは後編行きましょう!長文だよ!

 

 

2018年『エリザベート』《後編》

 


珠城さんの舞台を観に行くといつも楽しかったとかいう次元を超えて

 


「今日も愛されたな…」

 


オキシトシンドバドバになって帰路につくのですが、それにしても『エリザベート』の愛された感はべらぼうでした。

 

 

 

珠城トートを見ていると2つの熟語が頭に浮かんできます。


一つ目は『悪童』。

シシィをどんな目に遭わせて人生に幻滅させてやろうかと、まるでチェスの駒でも選んでいるように愉しげに事を進めるトートの表情豊かなこと!

企む、哄笑する、ほくそ笑む、悔しげに歯ぎしりする。どのトートも悪童の如く自在でした。

市井に紛れこんでルキーニと結託するカフェの場面や民衆を煽動するミルクの場面。人々は気づかないままにトートに操られ、操る側のトートはあくまでエゴイスティックに人々の運命を翻弄する…。

なるほど『死』というのはこうして日常に潜んでは人心を掻き乱しているのねと思わせる、目の離せない存在でした。

 


二つ目は『豊穣』。

これはもう珠城さん本人から連想されるワードなのかもしれませんが(笑)、珠城トートは残忍な面を見せたかと思えば時としてまるで菩薩様のようななよやかさを感じさせもするのです。

豊かな実りを思わせる安心感。

たっぷりとふくよかで極楽浄土に誘われるかのような抗い難い誘惑…!

限界まで眠くなった時に目の前にフカフカのベッドがあったら飛び込まずにおられようか!?ってことですよ!(え)

執務室での甘い囁き、ドクトル・ゼーブルガーからの変身(魅惑のシャツイチ)、ルドルフに忍び寄る「闇が広がる」は特に残忍さと誘惑のせめぎ合いが凄かった。

 

 

 

「人生とは重い荷を背負って長き坂道をゆくが如し」な我々にとって「死」は行き着く先なのか転げ落ちる所なのか、どっちにしてもここはどうあっても美しくなければならない。この作品は1にも2にも死が魅力的でなければお話にならない訳です。

その点で珠城さんのトートは完全に圧勝でした。

エリザベート』は100人見たら100個正解があるような作品なので、珠城りょうファンの私は敢えて断言させていただきます。誰がなんと言おうと、珠城りょうのトートは大正解でした。

 

 

 

珠城さんのトートを語る上で外せないナンバーが2幕「愛と死の輪舞曲〜リプライズ」です。

あれだけ揺さぶり続け最愛の息子を奪ってまでも欲しかった彼女の魂。全てに絶望してようやく身を投げ出したシシィに手をかけようとしたその瞬間、トートは気づきます、この女は「まだ私を愛してはいない」と。

 


トートはエリザベートの何を求め何を愛したのか。作品中最も難しい矛盾点です。

「愛と死の輪舞曲〜リプライズ」でこれ程までにトートの内面の葛藤を表現したのは18年月組バージョンが初めてだったように思います。

諦観、虚無。そのように表現するトートも良かったですが、こと今回バージョンのエリザにはこのトートの葛藤が不可欠でした。

 


このブログはずっと珠城さんにフォーカスしてお送りしていますが、語るまでもなく舞台は総合芸術であり、役者同士のぶつかり合いによる火花こそが月組芝居の醍醐味だと認識しています。

 


このエリザベートも例に漏れずどのキャストも素晴らしく、特にちゃぴちゃんのシシィと美弥さんのフランツ、れいこちゃんのルキーニがとても良かった。

トートとシシィの関係性は各組によって少しずつ違うのが妙味ですが、珠城トートと愛希シシィは力関係が対等で、ぶつかりながら反発しながら共に一つの人生を光と影の如く追従していったような二人でした。

美弥さんのフランツはとても優しい人で「皇帝は自分の為に在らず」と言いながら本来の彼はシシィのように自由に生きることを望んでいたように見えたんですよね。

自由に生きられぬ皇帝が人間らしく生きた唯一の証がシシィへの愛だった。

「僕たちはひとつなんだ」と語りかける言葉が哀しく響く、素敵なフランツでした。

 


まるで天と地が一つの生命を引き合うような壮大な愛のドラマの中で「愛と死の輪舞曲〜リプライズ」のトートの葛藤が「夜のボート」のフランツの届かぬ愛に呼応し、果たしてシシィの本当の心はどこにあったのか?といよいよ2人の帝王が対峙する「最終答弁」に繋がってゆく。そしてこの流れを導く月城ルキーニのあの狂気!あー!思い出しただけで鳥肌が立つほど興奮してきました…!(どうどう)

 

 

 

 


これはゴマンとあるエリザベート論の個人的解釈と思って読み流していただけたらと思うのですが、結果的にシシィがどちらを選んだかはもう解らないと思うんですよね。

 


ただ一つ言えるのは、シシィは最期になって自分の人生の全てを受け入れたということ。

そして、受け入れた先に待っていたのは安らかな死であったということ。

 

 

 

真っ白な魂となったシシィを広く柔らかなかいなに包み込むトート。口づけた瞬間に全てを委ねて力尽きた女の魂を、優しくもたげるトートの掌の力強さ、あたたかさ。これこそが安息の瞬間とばかりに揺らめくスモークの中に消えてゆく2つのよく似たシルエット…

 


「昇天」の場面。

 


見終わるといつも「愛された」という充足感と共に「生きなければ」と強く思います。

どんな悪戯に振り落とされそうになっても、全てを投げ出して目の前の豊かな果実にかぶりつきたくなっても、自分の「生」を是として「よく生きた」と思えなければ、あの美しいトート閣下は迎え入れてくれないのだから。

 

 


18年月組のエリザ。見る前はもうお腹いっぱいだよー!と思っていた筈なのに、

エリザベート』という作品のさらなる深淵に触れられた貴重な公演となりました。

 

できることなら色んな人に18年月組エリザを、珠城さんのトートを見てほしい!きっとみんな、生きる力を貰えるはずだから…。あとフィナーレが最高だから…たまちゃぴ史上一番セクシーなデュエダンだから…!!!!腕つつーってするやつ!!!エーン語り足りない!!

 

 

 

 


という訳で小池先生、どうかよろしくお願い致します(笑)(まだ言うか)

 

 

《次回》私は好きだよ!『夢現無双』について

 

おっ楽しみに〜〜〜!!

 

『エリザベート』のこと《前編》

 

 

大作に対して私の筆力が追いつかず、とりあえず《前編》《後編》に分けました。

ちょっとライトな前編、ディープに語る後編って感じになったと思います。前フリはこの辺にしてさっさと行きましょう(笑)

 

という訳で今回はこちら

↓↓↓

2018年『エリザベート

潤色・演出 小池修一郎

 

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【1898年ハプスブルク帝国の皇后エリザベートが外遊先のスイスで暗殺された。犯人は無政府主義者ルイジ・ルキーニ。刑務所の独房内で自殺を図り現世でその目的は闇に葬られたが、煉獄の裁判所ではルキーニへの尋問が続いていた。

何故彼はエリザベートを殺したのか…

裁判官に促されたルキーニは霊廟からエリザベートと共に生きた人々を証人として甦らせ、遂には黄泉の国を司る死神トートをも召喚させると、驚くべき真実を語り出す。皇后殺害の動機は「グランド・アモーレ、偉大なる愛だ」と…。

シシィの愛称で親しまれた皇后エリザベート(愛希れいか)の数奇な人生を、黄泉の帝王トート(珠城りょう)との不思議な因果に基づいて辿ってゆくウィーン・ミュージカルの最高峰。1996年の日本初演から愛され続けた名作を宝塚歌劇団として記念すべき10回目の再演作品として上演。】

 

 

 

元々好きだなと思っていた珠城さんに青柳さん/BADDYから本格的にドボンして迎えた公演があの『エリザベート』。私のテンションは…

 

 

 

上がりませんでした(爆)

 

 

 

いや、エリザは名作だしちゃぴの最後に相応しいのもわかる!ロミジュリの『死』もかっこよかったし珠城さんのトートもなんとなく想像はつく!

でも、正直あの健康な美丈夫がウリのトップ4作目の男盛り(?)の珠城りょうにトートはちょっと…モニョモニョ、と、まぁぶっちゃけ観るまではそう思ってました。

16年宙組のエリザが私の中でベストアクトだったのもあるかな。因みに私ヅカヲタ歴だけは長いのでエリザは初演から観ていて、一番好きな解釈は水となの雪エリザです。自己紹介。

 

 

 

それでも満を持して、仕事のタイミングも折りよく久方ぶりの遠征で宝塚大劇場まで見に行きましたよ『エリザベート』。

結果、若く美しく逞しい黄泉の帝王にメロメロの骨抜きになって帰ってきました(笑)チョロ〜

 


もうあちこちで言われてるので今更ですが、珠城さんて「男でもあり女でもある」タイプのひとじゃないですか。ワイルドな青年とグラマラスな美女が一つの身体に同居したような人で、男性性も女性性もモリモリ。え??生物として完璧なのでは???

そんな珠城さんが演じるトート、何故似合わないと思ったのか私は!!!むしろぴったりじゃないか!!!

小池先生は珠城さんに「麻路トート以来のダイナミックなトート像」を見出したようですが、ただパワフルなだけじゃない、大胆かつ甘美、蠱惑的なトートでした。(マリコさんのトートも優美でセクシーなトートで大好きでした!)

 

 

 

シンプルにトートの珠城さん、すっごい綺麗なんですよ。

お披露目の頃と比べて少しお顔がほっそりとされたせいか元々丸く目立っていた頬骨も西洋的な美貌に変換され、印象的なアーモンド・アイと美しい鼻梁に何よりあの陶器のようなツヤツヤ美肌!青ざめたトートのメイクがよく映えて、制作発表時には賛否あった(笑)グリーンとパープルの混ざった髪型も実際見ると長身な珠城さんにお似合いで衣装とのマッチングも良くとても綺麗でした。

 


見た目の事ばっかり言うのもアレですが、何はなくともトートは美貌がなくては成立しない訳で、珠城さんはご自身のお顔立ちと奇跡のプロポーションをフルに活かした最高のトート像を作り上げたと言っていいと思います。

顔が綺麗で体格のいいトート、絶品でしたねぇ(じゅるり)。

 

 

 

そもそもトートって「中性的なアンドロギュヌスのような神」と造形されてますよね。ウィーン版ではデヴィッド・ボウイのようなロックスターがイメージだったとか。

宝塚版は男役が演じるのだからその辺は専売特許、東宝版は男性の体躯を活かしたセクシーなトートが次々登場しています。で、私はそろそろ東宝版エリザに男役のトートが出てこないかな?と待ってるんです。

 

 

 

そして、今それが出来るのは珠城りょう以外に居ないと思うんですよ。わー!言っちゃったよ!!殺される!!!←

 


だってまだ珠城さん若いし、あのトートなら宝塚の枠を飛び出しても絶対いけます。それほどに珠城りょうのトートは美しかった!

だって男の色気も女の色気もモリモリ全部盛りのトートですよ?しかも均整の取れたボディにあの真ん中オーラですよ?きっと引けを取らないと思うんです。それに何より新しい『エリザベート』が生まれそうな気がしませんか?ね??

るろ剣もポーもあったんだから、そろそろいいんじゃないかと思うんですけどね?怒られますかね(笑)

 

 

 

前編は珠城ボディについて褒めちぎって言い逃げして終わろうと思います(笑)

 

《後編》は落ち着いて作品の内面的な部分を振り返りたいと思いますので、よろしくお付き合いくださいませ〜

 

続けて直ぐに投稿します🙇‍♂️

 

『BADDY』のこと

 

珠城さん再スタートを記念して今回はこちら。

↓↓↓

 

 

2018年『BADDY〜悪党(ヤツ)は月からやってくる』

作・演出 上田久美子

 


【ここはピースフルプラネット地球の首都・TAKARAZUKA CITY。建国以来103年間犯罪の起きない平和な世界である。それもそのはず、この国では些細な口喧嘩も飲酒も喫煙もダメ絶対!

今日も平和に一日が終わると思われたその時、唸るような地響きが地球を襲う。月に潜伏していたはずの大悪党BADDY(珠城りょう)が、仲間を引連れ地球に上陸したのである!宇宙服を脱ぎ捨てるなりタバコをふかし、男か女か分からない恋人・スィートハート(美弥るりか)と公然とイチャつくなど、BADDYはやりたい放題。

地球の平和を守る捜査官グッディ(愛希れいか)と、彼女を慕う同ポッキー(月城かなと)は、早速彼らの取り締まりに躍起になる。

平和な世界を脅かす大悪党…。善と悪の壮大な追いかけっこが今ここに始まった】

 


はい。これ宝塚のショーの説明です。

今作は『ノバ・ボサ・ノバ』のようにショーの形式を踏襲しつつストーリー仕立てで進行する作品でありました。

この作品は上辺だけ見てもすごく面白い。おもちゃ箱から飛び出してきたようなキャラクターに荒唐無稽なストーリー、お子様人気が異様に高いのも頷けます。

 


この作品を見て「なんだか賑やかで楽しかったわ」だけで済ませられる人はある意味とても幸せな人だと思います。

BADDYはルビンの壺の如く、見る人によって全く見え方が異なる作品だと言えるでしょう。

だいたいね、BADDYが刺さるようなのはね、教室の片隅で太宰治とか読んでたタイプの人間なんですよ。私のことです。

そして珠城りょうが刺さるのもこのタイプが多いと思うんですよね。快晴よりも曇天に息がしやすくて泥水啜りながら砂噛んで人生渡ってきたタイプの人間にとって珠城りょうは眩しすぎるんですよ!!私のことだよ!!!

 

 

 

…涙が出てきそうなので話を変えましょう。

 


私、公演タイトルの冠が好きなんです。「宝塚グランドロマン ベルサイユのばら」とか「ロマントラジック 桜嵐記」とか。BADDYの冠は「ショー・テント・タカラヅカ BADDY〜悪党(ヤツ)は月からやってくる」。

ショー・テント・タカラヅカ。痺れます。アングラ演劇やサーカスを彷彿とさせる、粗暴で優雅な野趣あふれる冠です。

 


粗暴で優雅。

これぞまさに珠城さんのBADDYそのもの。

 


作品について語り出したらもうキリがないので(笑)ここではその「粗暴で優雅」をテーマに「BADDY覚醒〜ビックシアターバンク襲撃」をクローズアップしていきたいと思います!

「悪いことがしたい/いい子でいたい」

良い子の白チームと悪い子の黒チームが泥水啜ってきたオタクにグッサグサに刺さるキラーワードをこれでもかと交互に繰り返し、入り交じり、中詰めは一種のトランス状態に。そして最高潮に達した所で唐突に短い会話場面を挟みます。

 

 

 

【BADDYはグッディにうつつを抜かすうちに本来の悪の道を外れつつあることを恋人のスィートハートに指摘され、これではダメだと自分に相応しい大きな悪事はないかと考え直す。

[ビックシアターバンクを襲撃し、地球の惑星予算をそのまま奪い取る…]

思いつきに確信を得たBADDYは俺こそが宇宙一の悪党と高らかに謳い上げ、自らを奮い立たせビックシアターバンクに向かうのだった】

 

 

 

トランス状態から一度カームダウンした客席の空気をたった一人でマックスボルテージまで引き上げる珠城りょう、めちゃくちゃかっこよかった…!

まるで劇場全体が急上昇するジェット機になったみたいで、BADDYの巻き起こす大気流に耐えながら歯を食いしばって手拍子をしていました(※観劇)。

一人の人間が出すエネルギーがこんなにも場を支配することがあるのかと、飛び散る汗すら神がかって見えたものです。いやぁ、あれはすごかった。

 

 

 

場面は一転ビックシアターバンクの舞踏会へ。

正しき国の繁栄を祝う禍々しいダンスパーティー。そこへ黒燕尾を身につけ黒髪をオールバックに撫でつけながら咥えタバコで颯爽と現れる正装のBADDY!!!

 


ここの早替わり、58秒。

 


あれだけのエネルギーをぶち放っておきながらBADDY様、わずか58秒後に余裕綽々の佇まいで銀橋に再登場です。惚れないわけがない…

この時の燕尾のかっこよさを語るためにツラツラと文章を綴ってきた訳ですが、あれぞ「粗暴で優雅」珠城りょうの男らしさの真骨頂だと思います。

 


言うまでもなく黒燕尾は男役の正装です。でもことBADDYの黒燕尾に関しては男役が着るそれとは全く違う、まるでリアルな男の人が着こなすような黒燕尾なのです。

珠城さんの肉体美はもはや周知のことと思いますが、単に肩幅があるとか胸板が厚いとかそんなことじゃないんです。

実際恵まれすぎた奇跡の体型ですけど(笑)あの肉体には彼の信念みたいなものが詰まってるんじゃないかと思うんです。

 


体の奥の野蛮さを慎み深い正装スタイルに押し包み、粗暴な優雅を撒き散らしながらダンスフロアに溶け込んでゆくBADDYのなんとセクシーだったことか…ほんの1時間前まで無理矢理バーレッスンやらされてた人なのに…()

悪人は、もの哀しい。

 


いい子でいれば安全な場所で暮らしていけるのに、なぜ悪人は好き好んで激流を遡るような生き方を選ぶのか。

 


「俺はやりかけた悪事は最後まで貫くんだよ…!」

BADDYのこの言葉を聞くといつも胸が締め付けられるように熱くなります。

周りに迎合することを否定し続け、茨の道をゆく愚かなBADDY。手負いの獣のような美しいBADDY。

(ちなみにこの言葉、家族に内緒で観劇に行く朝には必ず心に刻んでいます。)

 

 

 

珠城さんってスマートじゃないのが魅力なのかなって思います。少なくとも久美子先生はそこに珠城さんの魅力を見出した人なのでしょう。

 


先日友人が「珠城さんの演じるBADDYにはどこか古い時代の銀幕スターのようなダイナミックな風格がある」と話していました。

当時のスターはスターとしての生き方を貫いていましたよね。映画のギャラを一晩で銀座のクラブに撒き散らしたとか、付き人ぶん殴って入院させたとか(笑)

「BADDY」と自分の名前が飾りつけられたジャケットを着たBADDYの後ろ姿には、ちみちみしたところを見せたくないスターの意地にも似た哀愁が漂っているんですよ。豪放磊落でありながらどうしようもなく孤独で、愚かだけど最高にカッコイイ愛すべき悪党!

私はこの作品を東京宝塚劇場で観ました。幸いチケットも複数押さえ見られる日を探して必死に追いかけました。

とても幸運だったと思いますが、出来ることならこれを宝塚大劇場で観たかった…!

武庫川のほとりのあの朗らかな娯楽の殿堂で大暴れするBADDYは、東京で観るよりもっともっと魅力的に映ったかもしれない。

 

「天国なんてバアさん達が行く場所さ」

 

サングラス姿でそう言って客席をくさすBADDYを、宝塚大劇場の常連さんはどう思ったのだろう。眉を顰めただろうか?

いいえ、きっと私が客席に居たら、誰も渡ることのできない激流に悠々と飛び込んでゆく男の、粗暴で優雅な姿に陶然と胸を熱くした事でしょう。

叶うことなら今からBADDYを知らない体(?

)になって宝塚大劇場でBADDYに出会いたいなぁ〜!!

 

《次回》似合わないって誰が言った!!!「エリザベート〜愛と死の輪舞曲」

 

どうぞお付き合いくださいませ!