『クルンテープ〜天使の都』のこと 後編
後半も参りましょう!
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https://acco11.hatenablog.com/entry/2021/09/10/223015
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『クルンテープ〜天使の都』後編
《ラーチャブルック》
かつて珠城さんに紫色の全身タイツを着せた大介(褒めたい)。すわ女装か!?と騒めきましたが面白い変化球でしたね。
男らしく踊っていたと思いきや帽子を取るとファサっと長い髪が零れ落ち「ラーチャブルック」と正体を明かして甘く囁くオチ。
鬘が似合っていたかはこの際置いといて(おい)珠城さん、妙に艶めかしくてね。ほんと、急にエロいの不意打ちで出してくるんですよあの人。そしてまさかこれが後のピガールの伏線になろうとは。
しかしこの禁断のヴェールを剥ぐような「実はオンナでした♡」オチ、普通に女装させるよりクるんですよね(笑)
舞台にはいくつもの[お約束]があって、役者と観客は嘘とわかった上で言わば共犯的にその[お約束]を守り、舞台を成り立たせています。むろん宝塚の最大の[お約束]は男役の存在です。
舞台上の公然の嘘。その共犯の禁が破られる時、ふっと一瞬どこか違う所へ連れていかれるような感覚に陥る。自分の立っている場所が危険な薄氷の上である事に気づかされて、慌てて何かにしがみつきたくなるような…。
珠城さんは元々両性具有的な方なので、このスリルは快感でした。
ちなみに鬘は2種類あって、メインの金髪はキュートな小悪魔っぽく、レアバージョンの黒髪は妖しい女豹っぽいラーチャブルックちゃんでした。
ラーチャブルックの後にゴリゴリに男らしい《ライキンドクーン》この流れが最高なのはやはり嘘の効用ですね。
曲調が妙に懐かしくてダサかっこいいのがツボで、アラフォー(私)はテンションは爆上がりでした。ははは。
「お前〜セクシーデビル〜、ッア!」
の「ッア!」が毎回ちょっとずつ違ってて、吐息系の時とか最高でした♡
この場面の白ワンピのあざと可愛いさくらちゃんも好きだったな。世間知らずの冒険したがってるお嬢様。たまさくのちょっと「いけない感じ」もいいし、ありちゃんとの絡みも全体的にご馳走様でした。撃たれちゃうけど。
《エメラルド仏》
素面に戻るとなんだか奇妙で笑ってしまうんですが(だって緑色のキンキラキンの人がさも尊げにせり上がってくるんですよ!?)、珠城さんてどこか菩薩様みたいなところがあって拝みたくなるんですよね。お顔もなんだか仏像っぽいし、生きとし生けるもの万物須らく極楽浄土にお救いくださりそうじゃないですか(笑)。
珠城さんには時々「父性」を感じる時があって、人はそれを包容力と言うのでしょうが、包み込まれる安心感が桁違いなんですよね。
なるほど珠城さんにはタイがいい。やはり大介の金棒セレクトは間違っていませんでした。
《フィナーレ》
黒燕尾の開襟腕まくり、そしてターバン!みんなかっこよかった…。ここの演出はスター美弥るりかを送り出す群舞として一番綺麗な方法だったと思います。せり上がってくるるりさんを迎える瞬間音楽がクレッシェンドしていく所、毎回感動で震えました。珠城さんもすごくいいお顔をされてて。
そして、あのデュエットダンス。
あの振付がもうたまさくの原点であり全てなんですよね。
珠城さんとさくらちゃんのリアルな男女っぽさって他に類を見ないと思います。
あれこれ語り出すとまためんどくさいこと言っちゃいそうなのでここでは止めておきますが(笑)、お互い思い合っててすれ違ってる二人なんですよね。
その加減が見ていてずっと好きでした。
珠城さんって相手役さんをすごく優しく扱うのに時々自分の力加減わかんない感じでさくらちゃんをめちゃくちゃ雑に放り投げる時あるじゃないですか(笑)あれ、リアルに男の人っぽくていいなって思います。そうかと思ったら両手を広げて「おいで」ってしてくれたり。
好きな人の不可解な行動に惑わされ、好きな人によって戸惑いが解消される。その繰り返しなんですよね。リアル〜(笑)
最後の銀橋のやり取り、不安げに佇むさくらちゃんに向かって珠城さんが手を差し伸べる。
「不安なことはたくさんあるけどこの手を離さずやっていけばきっと大丈夫」と言っているようで、新生トップコンビの素晴らしいスタートとなりました。最後にハケてくのも二人一緒でね。幸せなひとときでした…。
ショーの感想こんなにコッテリ書いて大丈夫だったのでしょうか(笑)
まぁいいか、タイだし。
この公演、お芝居とショーのバランスがすごくマッチしてて楽しかった!ヨシマサのカオスな青年時代劇と大介全開のエキゾチックショー、見終わるといつもお腹ペコペコでタイ料理ばっかり食べていた記憶があります(笑)今日も辛いものでも食べようかな〜
次回は《I am from Austria》にしようかな for you。